長引く咳が流行ってます.肺炎と予防するワクチンを知ってますか?

長引く咳が流行ってます.肺炎と予防するワクチンを知ってますか?

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長引く咳,大丈夫?

2026年6月8日

「ただの咳」だと思っていませんか。

最近、非常に長引く咳に悩んで受診される患者様が多く見受けられます。その咳の奥に、ときに「肺炎」が潜んでいることがあります。

そして肺炎は、年を重ねるほど「かかりやすく」、そして「重くなる」病気です。高齢の方にとっては、命を左右しかねない病気のひとつ。

その最大の原因菌こそが「肺炎球菌」です。この脅威から身を守る“切り札”が、いま静かに、しかし大きく進化しています。

長らくあたりまえだった肺炎球菌ワクチンの世界が、いま大きく変わろうとしているのです。そして2026年、肺炎球菌ワクチンはついに「新しい時代」へと切り替わりました

そもそも「肺炎球菌ワクチン」とは?

肺炎球菌には、なんと100種類近くもの「型(血清型)」が存在します。そのすべてに一つのワクチンで備えるのは物理的に難しいため、ワクチンは「特に感染しやすく、重症化しやすい型」を厳選して作られています。

このワクチンが守ろうとしているのは、単なる「風邪に毛が生えた程度の肺炎」だけではありません。肺炎球菌は、菌が血液に入り込む「敗血症」や、脳を包む膜に及ぶ「髄膜炎」といった、致死率の高い“侵襲性感染症”を引き起こすことがあります。高齢になると免疫の力が落ちるぶん、一度こうした状態に陥ると回復が難しくなる——だからこそ、元気なうちに「抗体」という盾を準備しておくことが、健康寿命を延ばすうえでの大きな戦略になるのです。

これまでの“二枚看板”

長らく日本で使われてきたのは、性格の異なる2種類のワクチンでした。

一つは「ニューモバックスNP」(23価/PPSV23)。23種類もの型をカバーする“守備範囲の広さ”が武器です。ただ弱点もあり、免疫の記憶を作る力が弱く、数年で抗体が下がってしまう。そのため、おおよそ5年ごとの打ち直しが必要とされてきました(実際には、5年以上前に一度打ったきり、という方も少なくありません)。

もう一つが「プレベナー13」(13価/PCV13)。守る型は13種類とやや少ないものの、“結合型”という特殊な仕組みを採用しています。細菌の成分にタンパク質をくっつけることで免疫を強く刺激し、効果が強く、長く続く。この「広さのニューモバックス」と「強さのプレベナー13」を組み合わせる併用接種が、これまでの最善策とされてきました。

そして登場した“次世代”——プレベナー20とキャップバックス

ところが技術の進歩が、これまでの弱点を一気に塗り替えました。

「プレベナー20」(20価/PCV20)は、プレベナー13の進化版です。“強い免疫を作る”という長所はそのままに、カバーする型を13から20へと大幅に拡大。従来の「守備範囲の狭さ」という課題を克服しました。さらに2026年4月からは、65歳の方などを対象とした定期接種(公費助成の対象)にこのプレベナー20が加わったのです。

もう一つの新顔が「キャップバックス」(21価/PCV21)。型の数が一つ多いだけではありません。注目すべきはその“配合の妙”で、大人の侵襲性感染症の原因となる型を重点的に集めた、いわば「高齢者に特化したワクチン」と言える設計になっています。

4種類の特徴を、ひと目でわかるように整理すると次のとおりです。

従来型と新世代の「決定的な違い」

新世代ワクチンと従来型の違いは、「守備範囲」と「免疫の質」を“両立”できているかどうかにあります。従来のニューモバックスは広いが質に課題があり、プレベナー13は質は良いが範囲が狭い。新世代は、この両者の“いいとこ取り”をしたのです。

図1:守備範囲(型の数)と免疫の質で見た4ワクチンの位置づけ

特にプレベナー20は、これ一回で従来の併用接種に近い、あるいはそれ以上の防御力が期待できるとされています。何度も打つ負担が減るのも、受ける側にとって見逃せないメリットです。

プレベナー20とキャップバックスの違い

どちらも最新の結合型ワクチン(効果が強く、長く保ちやすい)ですが、押さえている血清型はかなり異なります。型の数こそ20と21で似ていますが、キャップバックスは高齢者の侵襲性肺炎球菌感染症に特化した構成。一方プレベナー20は、子どもに病気を起こす型もしっかり押さえており、2024年からは生後2か月以上6歳未満のお子さんにも公費で使われています。

その分、キャップバックスは値段がやや高めで、しかも現時点では公費の対象外(自費のみ)。対してプレベナー20はすでに定期接種の枠組みに入っており、費用負担を抑えられるという現実的な利点があります。

すでに接種済みの人はどうすべきか?

「以前ワクチンを打ったが、新しいものに打ち直すべきか」というご相談は非常に多く寄せられます。結論は、過去に何を打ったかによって変わります。まずは下のフローチャートで、ご自身がどのパターンに当てはまるかを確認してみてください。

図2:過去の接種歴から選ぶ ― 肺炎球菌ワクチン早見フロー

それぞれのポイントを、もう少し詳しく補足します。

パターンA(未接種・65歳):定期接種の対象であるプレベナー20が最有力です。1回で高い効果と長い持続が見込め、費用も最も抑えられます。

パターンB(未接種・66歳以上):接種を強くおすすめしますが公費は使えず自費となります。プレベナー20とキャップバックスのどちらも候補で、より高齢者向けに設計されたキャップバックスはその分やや高めです(両者を直接比べた予後データはまだありません)。特性とお財布の事情で選んでいただければと思います。

パターンC・D(ニューモバックスのみ):免疫の持続期間が限られるため、追加接種が有効です。前回から1年以上空いていれば新型を上乗せでき、5年以上経った方は従来の「再接種」を新型への切り替えと考えるとよいでしょう。

パターンE(プレベナー13のみ):13の型については今も高い免疫を保っていますが、それ以外には無力です。1年以上経過していれば、すき間を埋めるプレベナー20やキャップバックスの追加がおすすめです。

パターンF(13+ニューモバックス併用済み):現時点でかなり高いレベルの免疫をお持ちです。ただし免疫は時間とともに低下し、最新型にしか入っていない型もあります。数年経っている方は、主治医と相談のうえ最新型を追加する選択肢があります。

ぜひ「最新型」にアップデートを!

肺炎球菌ワクチンの環境は、ここ数年で劇的に“より高品質に、より広範囲に”シフトしました。とくにプレベナー20が公費助成の対象になったことは、多くの高齢者にとって大きな福音です。

ワクチンは「打てば安心」ではなく、ご自身の接種歴や健康状態に合わせて、最適な種類とタイミングを選ぶことが大切です。とくに持病(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患など)のある方は、肺炎球菌に感染した際のリスクがより高いため、早めのご相談をおすすめします。

茅ヶ崎信愛クリニックでは,では公費・自費の両方を受け付けています。今65歳の方には茅ヶ崎市より接種のお知らせが届いているはずですので、66歳のお誕生日を迎える前に、ぜひ済ませておきましょう。ご自身を守るためにも、どうぞお早めにご相談ください。

この記事は一般的な情報をお伝えするものです。症状の感じ方や必要な検査は一人ひとり異なります。気になることがあれば、遠慮なく診察のときにお尋ねください。

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