「腸内フローラ検査を受ければ、大腸がんの有無もわかりますか?」という疑問を持つ方が増えています。腸内細菌と大腸の病気との関係は研究されていますが、腸内フローラ検査だけで大腸がんを診断することはできません。
この記事では、腸内フローラ検査でわかること、便潜血検査との違い、検査結果を受け取ったときの考え方を整理します。
腸内フローラ検査とは?
腸内フローラ検査は、便に含まれる細菌の遺伝情報を調べ、腸内細菌の種類や割合、多様性などを分析する検査です。代表的な方法に、16S rRNA遺伝子解析やメタゲノム解析があります。
16S解析では、どのような細菌が存在するかを主に評価します。メタゲノム解析では、細菌の遺伝情報から、どのような働きを持つ可能性があるかまで調べることがあります。
ただし、結果からわかるのは、あくまで検査時点の腸内細菌の状態です。ある細菌と病気に関連がみられても、その細菌が病気の原因なのか、病気や生活習慣の影響で変化したのかまでは、検査だけで判断できません。
腸内フローラ検査で大腸がんは診断できる?
現時点では、腸内フローラ検査の結果だけで大腸がんの有無を判断することはできません。
腸内細菌の構成や代謝産物と、大腸がんとの関係を調べる研究は進んでいます。特定の腸内細菌が産生する物質と、発がんとの関連を調べた研究もあります。しかし、研究で関連が示されたことと、個人の検査結果から大腸がんを診断できることは別です。
また、検査会社や解析方法によって、評価項目や「良好」「注意」などの判定が異なる場合があります。腸内フローラの状態に一律の正常値があるわけではありません。結果が「良好」でも、大腸がんやポリープがないことを保証するものではありません。
便潜血検査との違い
| 検査 | 主に調べるもの | 位置づけ |
|---|---|---|
| 腸内フローラ検査 | 便中の細菌の種類や構成 | 健康管理・研究などの参考 |
| 便潜血検査 | 便に血液が混じっているか | 大腸がん検診の検査 |
| 大腸内視鏡検査 | 大腸の粘膜、ポリープ、腫瘍など | 便潜血陽性時などの精密検査 |
便潜血検査と腸内フローラ検査は、目的が異なります。便潜血検査は腸内細菌のバランスを調べる検査ではありませんが、大腸がんなどによる出血の可能性を調べる、現在の標準的な大腸がん検診です。
腸内フローラ検査を受けたからといって、便潜血検査を省略してよいとはいえません。大腸がん検診については、国立がん研究センター「大腸がん検診について」も確認できます。
便潜血陽性なら、腸内フローラ検査より精密検査を
便潜血検査で「要精密検査」と判定された場合は、腸内フローラ検査を追加したり、便潜血検査をやり直したりするのではなく、医療機関に相談してください。1日分でも陽性であれば、精密検査が必要です。
痔がある方でも、出血の原因が痔だけなのか、大腸ポリープや大腸がんなのかは、便潜血検査の再検査や自己判断では区別できません。大腸がんは毎日出血するとは限らないため、再検査が陰性でも問題がないとは断定できません。
便潜血陽性後の受診の流れは、便潜血陽性のあと、大腸内視鏡までに何をする?でも解説しています。
便潜血陰性でも受診したほうがよい症状
便潜血検査は、症状がない方を対象とした検診です。結果が陰性でも、次のような症状がある場合は、次回の検診を待たずにご相談ください。
- 血便、黒っぽい便が続く
- 便秘と下痢を繰り返す
- 便が細くなった、排便してもすっきりしない
- 腹痛、食欲低下、体重減少がある
- 貧血を指摘された
腸内フローラ検査の結果をどう受け止める?
腸内フローラ検査は、健康状態を考えるきっかけになることがあります。一方で、結果だけをもとに、特定の食品やサプリメント、薬を一律に選ぶことはできません。「腸内フローラを整えれば大腸がんを予防できる」と断定できる確立した方法も、現在は確認されていません。
食物繊維を含む食品を取り入れる、適度に身体を動かす、飲酒や喫煙を見直すなど、一般的に健康的な生活を心がけることは大切です。ただし、症状や検査異常がある場合は、腸内フローラの判定よりも、必要な診察や精密検査を優先しましょう。
まとめ
腸内フローラ検査は、腸内細菌の構成を調べる検査です。大腸がんとの関連は研究されていますが、検査結果だけで大腸がんを診断することはできません。便潜血検査の代わりにもならないため、検診や精密検査を自己判断で省略しないことが大切です。
便潜血陽性、血便、便通の変化などがある方は、茅ヶ崎信愛クリニックへご相談ください。検査結果や症状を確認し、必要な検査についてご案内します。
参考情報
- 日本消化器病学会「腸内フローラ検査」
- 国立がん研究センター「大腸がん検診について」
- 国立がん研究センター「大腸がん検診ガイドライン2024年度版」
- 国立がん研究センター「日本人大腸がん患者さんの5割に特徴的な腸内細菌による発がん要因を発見」
監修 医学博士 小島正之