健診の朝に食べてしまったら?血糖値とHbA1cの結果をどう読むか
朝食をとった後で、健診の案内に「食事をせずに来院してください」と書いてあったことに気づく。そんなときは、自分で健診を取りやめる前に、受診先へ連絡してください。
食べたからといって、すべての検査が無駄になるわけではありません。ただし、空腹時の条件で行うはずだった採血を、そのまま空腹時の結果として読むことはできません。食べた時刻と内容を伝え、当日できる検査と、条件を整えて受け直す検査を確認しましょう。
「少しだけ食べた」も、採血前に伝えてください
伝えていただきたいのは、食べ始めた時刻、食べ物の内容、おおよその量です。飲み物だけだった場合も、種類と飲んだ時刻を知らせてください。ジュースや牛乳、砂糖入りのコーヒーなども、空腹時の条件には含まれません。
血糖値や中性脂肪は飲食の影響を受けます。厚生労働省の特定健診の手引きでは、空腹時血糖は絶食10時間以上で採血したものとされています。水を飲める量や時間を含め、実際の準備は受診先の案内に従ってください。[1]
「食後3時間30分たてば検査できる」と聞いた方もいるかもしれません。これは、特定健診でやむを得ず空腹時以外に採血し、HbA1cを測定しない場合に、食事開始から3時間30分未満を除いて随時血糖を用いるという取り扱いです。
3時間30分待てば空腹時になる、あるいはどの検査でも受けられる、という意味ではありません。[1]
採血以外にも食事制限が必要な検査があります。当日の検査内容を確認して、健診機関が実施や延期を判断します。
糖尿病の薬やインスリンを使っている方は、健診当日の食事と薬の扱いを事前に確認しておいてください。指示がない、指示と違う食事をしてしまった、という場合は、自己判断で服用・注射や中止を決めず、処方元や健診機関へ相談してください。
朝食の影響を受ける血糖値、朝食だけでは説明できないHbA1c
血糖値は、採血したその時点の血液中のブドウ糖の濃さです。食後は上がることが多く、食べた量や採血までの時間によっても変わります。空腹時と食後の数字を、同じ条件の結果として比べることはできません。[2]
一方、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、赤血球中のヘモグロビンに糖が結びついた割合です。過去1〜2か月程度の血糖状態を反映するため、当日の朝食を1回とったことだけで急に高くなる検査ではありません。[2]
たとえば、食後の血糖値が高く、HbA1cも高かったとき。「朝に食べたからでしょう」で終わらせると、それ以前からの血糖の上昇を見落とす可能性があります。
ただし、HbA1cも万能ではありません。鉄欠乏、溶血、輸血後、腎性貧血でエリスロポエチン治療を受けている場合などには、実際の血糖状態とずれることがあります。血糖値とHbA1cが合わないときは、こうした背景も確認します。[3]
食後でも、高い血糖値を放置しない
糖尿病の診断で用いる「糖尿病型」の基準には、空腹時血糖126mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上などがあります。随時血糖は、食事の時刻にかかわらず測定した血糖値です。通常の朝食後の採血と、決められた量のブドウ糖を飲んで調べる負荷試験は別の検査です。[3]
一度基準を超えただけで、必ず糖尿病と確定するわけではありません。原則として別の日の検査で確認し、少なくとも1回は血糖値が糖尿病型であることを確かめます。ただし、同じ採血で血糖値とHbA1cがともに糖尿病型だった場合や、糖尿病型の血糖値に典型的な症状が伴う場合などは、1回の検査でも診断できます。HbA1cだけを繰り返して診断することはできません。[3]
結果票が「要受診」「要精密検査」なら、食後だったことを伝えたうえで受診してください。強い喉の渇き、尿量の増加、理由のない体重減少を伴う場合や、著しい高血糖を指摘された場合は、予定している再検査まで待たずに医療機関へ連絡してください。
嘔吐、速く深い呼吸、意識がぼんやりするといった症状があれば、救急受診が必要です。[3・4]
結果票には、食べた時刻も添えてお持ちください
私は健診の結果を見るとき、今年の判定だけでなく、去年、一昨年からの変化も見たいと考えています。異常値を見つけた後に、今確認するもの、経過を追うもの、生活を見直すものを分ける。その考え方は、食後に採血した結果でも変わりません。
朝食の影響を考えることと、血糖の異常をそのままにすることは別です。今回の結果票に、飲食した時刻と内容のメモを添えてください。過去の健診結果とお薬手帳があれば、あわせてお持ちいただくと判断の助けになります。
茅ヶ崎信愛クリニックでは、健診結果を持参してのご相談と、健診の申し込みを受け付けています。当院で健診を予定している方も、食事の指示を守れなかった場合には検査前にお知らせください。当日の検査をどうするかは、予定している項目を確認して判断します。
血糖の結果については健診で「血糖が高い」と言われたら?、健診をその後の診療につなげる考え方は「健診を受けたから大丈夫」ではありませんでもお伝えしています。
根拠資料
[1]厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」第4.3版
本文4ページ・14ページの脚注。随時血糖・随時中性脂肪の取り扱い、空腹時の条件を参照。mhlw.go.jp
[2]国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病と関連する検査」
血糖値とHbA1cの違い、HbA1cが反映する期間を参照。糖尿病情報センター
[3]日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第1章:糖尿病診断の指針
本文5〜7ページ。糖尿病型の基準、確定診断の条件、HbA1cと血糖状態がずれる状況を参照。jds.or.jp
[4]日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」
急性合併症の症状と緊急治療の必要性を参照。jds.or.jp
資料確認日:2026年10月5日。検査前の飲食や薬の扱いは、受診先からの個別の指示に従ってください。
監修 医学博士 小島正之