「胃カメラは毎年受けたほうがいいですか?」「何歳から始めればいいですか?」は、診察室でもよく聞かれる質問です。
結論からいうと、症状のない方が胃がん検診として受ける場合と、胃痛や黒い便などの症状があって診療として検査する場合では考え方が異なります。今回は、この違いを整理します。
胃がん検診としての胃カメラは「50歳以上・2年に1回」が基本
国の指針に基づく胃がん検診では、50歳以上の男女を対象に、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査(胃カメラ)を2年に1回受けることが基本とされています。胃がんは50歳代から増えてくるため、症状がない段階で定期的に検診を受けることが大切です。
ただし、これはあくまで「症状のない一般の方を対象にした検診の目安」です。「2年間は胃カメラを受けてはいけない」という意味ではありません。
胃カメラで分かるのは胃がんだけではありません
胃カメラでは食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察できます。胃がんだけでなく、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、食道がんなどが見つかることがあります。必要な場合には組織の一部を採取して、顕微鏡で詳しく調べることもできます。
また、胃がんの重要なリスク因子の一つがヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の持続感染です。ピロリ菌に感染している、あるいは過去に除菌したことがある方では、胃粘膜の状態などを踏まえて、医師と検査間隔を相談することがあります。
「50歳未満だから胃カメラは不要」とは限りません
胃がん検診の対象年齢と、症状がある方への診療は別です。50歳未満でも、症状や経過によって胃カメラを検討します。(自分は患者さんに施行するので、体験するため20代から胃カメラを2年ごとの受けています。)
たとえば、みぞおちの痛みや胃もたれが続く、食べ物がつかえる、繰り返し吐く、原因のはっきりしない貧血がある、体重が意図せず減ってきた、といった場合です。特に黒くタール状の便は胃や十二指腸などからの出血でみられることがあり、早めの受診が必要です。
「検診の年齢まで待つ」のではなく、気になる症状が続くときには医療機関へ相談してください。
毎年受ければ受けるほど良いわけではありません
検診には、病気を早く見つけられる利益がある一方で、不利益もあります。胃カメラでは、のどの麻酔や鎮静薬による副作用、出血などの偶発症が起こる可能性がゼロではありません。また、異常が疑われて追加検査をしたものの、結果として治療の必要がなかったということもあります。
そのため、症状のない一般の方では、科学的根拠に基づいた対象年齢と受診間隔で検診を受けることが基本です。一方、過去の胃カメラで病変を指摘された方、治療後の方などは、担当医から指示された間隔を優先してください。
バリウムと胃カメラ、どちらを選ぶ?
国が推奨する胃がん検診では、胃部X線検査と胃内視鏡検査のいずれも選択肢です。胃カメラの特徴は、粘膜を直接観察でき、必要に応じて組織検査につなげられることです。一方で、どちらの検査にも長所と注意点があります。
国立がん研究センターは、胃部X線検査と胃内視鏡検査を毎年交互に受けることについて、偽陽性や偶発症などの不利益が増える可能性があるため推奨していません。「たくさん検査すれば安心」と単純に考えるのではなく、ご自身の年齢、既往歴、過去の検査結果を踏まえて選ぶことが大切です。当院では,現在胃カメラのみを施行しています。
こんなときは「次の検診」を待たずに受診を
次のような場合は、定期検診の時期にかかわらずご相談ください。
- 黒い便、吐血がある
- 食べ物がつかえる、飲み込みにくい
- 胃痛やみぞおちの不快感が長く続く
- 原因不明の貧血を指摘された
- 意図しない体重減少がある
- 繰り返す嘔吐がある
強い腹痛、吐血、ふらつきや冷汗を伴う黒い便などがある場合には、緊急性を伴うこともあります。症状が強い場合は速やかに医療機関を受診してください。
茅ヶ崎で胃カメラを検討されている方へ
茅ヶ崎信愛クリニックでは、胃の症状の診療と胃内視鏡検査を行っています。「自分は検診の対象なのか」「前回から何年空ければよいのか」「症状があるので検査したほうがよいのか」など、判断に迷う場合はご相談ください。
胃カメラは、年齢だけで一律に決めるのではなく、症状、ピロリ菌の感染歴、過去の検査結果などを合わせて考えることが重要です。気になる症状を我慢せず、適切なタイミングで確認していきましょう。
参考:厚生労働省「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン/胃がん検診」、国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん検診について」。本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療を代替するものではありません。