健康診断で「血圧が高めですね」と言われたものの、家で測るとそれほど高くない――。そんな経験はありませんか?
血圧は、緊張、睡眠不足、運動、寒さ、カフェイン、測定時の姿勢などによって変動します。そのため、健診で一度高かっただけで「高血圧」と決めつけることはできません。一方で、「たまたま高かっただけ」と放置してしまうのもおすすめできません。
今回は、健診で血圧高値を指摘されたときに、まず何を確認すればよいのかを解説します。
健診の血圧と家庭の血圧は同じではありません
診察室や健診会場では、緊張によって普段より血圧が上がることがあります。医療機関では高いのに家庭では正常範囲となる状態は「白衣高血圧」と呼ばれます。
反対に、診察室ではそれほど高くないのに、家庭や日常生活では血圧が高い「仮面高血圧」もあります。特に朝の血圧が高いタイプは見逃されやすいため、家庭血圧を測ることが重要です。
日本高血圧学会は2025年に「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を公表し、家庭血圧、とくに朝の血圧をきちんと把握することの重要性を強調しています。
まず1〜2週間、家庭血圧を記録してみましょう
健診で血圧を指摘された方におすすめしたいのが、家庭での血圧測定です。
朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食や薬を飲む前に、椅子に座って1〜2分安静にしてから測ります。
夜:就寝前に、落ち着いた状態で測ります。
できれば毎日、朝と夜に測定し、数値を記録してください。1回だけの数字よりも、数日間の平均的な傾向を見ることが大切です。測定する腕や時間帯もなるべく揃えると比較しやすくなります。
「上が130台だから大丈夫」とは限りません
血圧については、「140を超えたら高血圧」という数字だけが一人歩きしがちです。しかし現在の血圧管理は、年齢、糖尿病、腎臓病、心血管病の既往などを含めて総合的に考えます。
日本高血圧学会の2025年ガイドラインでは、治療中の降圧目標として原則、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満が示されています。ただし、これは「130を1回超えたら薬が必要」という意味ではありません。実際の治療は年齢、体調、ふらつき、併存疾患などを考慮して個別に判断します。
また日本高血圧学会は、朝の家庭血圧について130mmHg未満を目指す啓発活動も行っています。健診の数値だけでなく、普段の血圧を知ることが重要です。
血圧が高いと、なぜ放置しない方がよいのでしょうか
高血圧は、多くの場合それ自体では症状がありません。しかし高い血圧が長期間続くと、血管や心臓、腎臓に負担がかかり、脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などのリスクにつながります。
「頭痛がないから大丈夫」「体調がいいから問題ない」という判断はできません。症状が出る前から管理することが、予防医療では大切です。
健診で血圧が高かったときに一緒に確認したい項目
血圧だけを見るのではなく、健診結果のLDLコレステロール、中性脂肪、血糖・HbA1c、腎機能、尿蛋白、心電図なども一緒に確認すると、将来の心血管リスクをより総合的に考えることができます。
たとえば血圧高値に糖尿病や脂質異常症が重なる場合は、血管への負担をより意識して管理する必要があります。
生活習慣でまず見直せること
血圧管理では薬だけでなく、生活習慣も重要です。塩分を摂りすぎないこと、適正体重を保つこと、無理のない範囲で運動を続けること、飲酒量を見直すこと、睡眠を確保することなどが基本になります。
ただし、生活習慣を改善すれば必ず薬が不要になるわけではありません。血圧の高さや全身のリスクによっては、生活改善と並行して薬物治療を行う方が安全な場合があります。
こんなときは早めに医療機関へ
健診後に家庭血圧を測っても高い状態が続く場合、以前より明らかに血圧が上がってきた場合、糖尿病・腎臓病・心臓病などがある場合は、一度医療機関で相談してください。
また、非常に高い血圧に加えて、強い胸痛、呼吸困難、突然の激しい頭痛、手足の麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、通常の外来受診を待たず緊急の評価が必要です。
健診結果は「血圧だけ」でなく一緒に見せてください
茅ヶ崎信愛クリニックでは、健診で血圧、コレステロール、血糖、肝機能などの異常を指摘された方のご相談をお受けしています。
血圧の数字だけではなく、健診結果全体と家庭血圧の記録をお持ちいただくと、生活習慣の見直しで経過を見られるのか、追加検査が必要なのか、治療を考えるべきなのかを整理しやすくなります。
「要受診と書かれているけれど、どのくらい急いだ方がいい?」「家では正常なのに受診する必要がある?」という段階でも構いません。健診結果をそのままにせず、これからの健康管理に役立てていきましょう。
参考:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」「血圧朝活」関連情報。本記事は一般的な医療情報であり、個々の診断・治療は診察結果によって異なります。
監修 医学博士 小島正之