2026年9月14日、俳優の中村ゆりさんが直腸がんのため亡くなったことが所属事務所から発表されました。44歳でした。心よりご冥福をお祈りいたします。
このニュースを見て、「大腸がんは高齢者の病気ではないのですか?」と不安になった方もいると思います。
確かに、大腸がんは年齢とともに増える病気です。一方で、40代以下でも発症することがあります。大切なのは、必要以上に怖がることではありません。ただし,「まだ若いから大丈夫」と症状を見過ごさないことは重要です。
直腸がんは大腸がんの一つです
大腸は、結腸と直腸に分かれます。直腸は大腸の最後の部分で、肛門につながる場所です。
直腸にがんができると、血便や便通の変化などが起こることがあります。ただし、早期にはほとんど症状がないこともあります。そのため、症状だけで早期がんを見つけるのは難しい場合があります。
40歳からは年1回の便潜血検査が基本です
国立がん研究センターは、男女とも40歳以上を対象に、年1回の大腸がん検診を勧めています。検査方法は便潜血検査2日法です。(近年1回法の変更なんて話も出ていますが・・・)
便潜血検査は、自宅で便を採取できる負担の少ない検査です。大腸がんによる死亡を減らす効果が確認されており、非常に大切な検診です。
一方で、便潜血検査は「陰性なら大腸がんが絶対にない」という検査ではありません。がんやポリープからの出血は毎日起こるとは限らないからです。
便潜血だけでなく、大腸内視鏡を考えるべき人
平均的なリスクで症状のない方全員に、50歳より前から定期的な大腸内視鏡を行うことが日本の標準的ながん検診というわけではありません。
ただし、次のような方は年齢にかかわらず、大腸内視鏡を含めた詳しい検査を考える必要があります。
- 血便や便に血が付くことが続く
- 便秘と下痢を繰り返すなど、便通が変わった
- 以前より便が細くなった
- 残便感やお腹の張りが続く
- 原因不明の貧血がある
- 親・兄弟姉妹など近い血縁者に大腸がんの方がいる
- 以前に大腸ポリープを切除したことがある
特に血便は痔でも起こります。そのため「痔だと思う」と自己判断しやすい症状です。しかし、直腸がんでも同じような出血が起こることがあります。
「まだ若いから」は検査をしない理由にはなりません
40代、30代、さらに若い年代でも、大腸がんが全く起こらないわけではありません。
また、若年で大腸がんを発症した場合には、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など、遺伝性大腸がんの可能性を検討することがあります。大腸癌研究会のガイドラインでも、若年発症や家族歴は遺伝性大腸がんを考える重要な手掛かりとされています。
ご家族に若い年齢で大腸がんになった方がいる場合は、「何歳から、どの程度の間隔で検査するか」を医師と相談することが大切です。
大腸内視鏡には「がんになる前に見つける」という役割もあります
大腸内視鏡の大きな特徴は、がんを見つけるだけではありません。
大腸がんの中には、腺腫というポリープから時間をかけてがんになるものがあります。内視鏡検査でこうしたポリープを発見し、適切に切除することで、将来の大腸がん予防につながる可能性があります。
一方で、大腸内視鏡にも前処置の負担や、まれではありますが出血・穿孔などの偶発症があります。そのため、誰にでも同じ間隔で行うのではなく、年齢、症状、家族歴、過去のポリープなどを踏まえて判断します。
こんな症状は一度ご相談ください
血便がある。便通が最近変わった。貧血を指摘された。家族に大腸がんが多い。こうした場合は、便潜血検査が陰性でも一度ご相談ください。
大腸がんは、早期では症状がほとんどないことがあります。一方で、早期に発見できれば治療できる可能性が高まります。
茅ヶ崎信愛クリニックでは、便潜血検査の結果や症状、家族歴を確認しながら、大腸内視鏡が必要かを一緒に考えています。「まだ若いから検査は必要ないだろう」と決めつけず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
参考情報
監修 医学博士 小島正之