「いびきがうるさいと言われたけれど、自分では困っていない」
そんな方は少なくありません。寝ている本人には分からないので、つい後回しになってしまうんですよね。
茅ヶ崎信愛クリニック院長の小島です。
私が診察で気にするのは、いびきの音量だけではありません。
家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と言われた。会議中や運転中に、我慢できないほど眠くなる。血圧の薬を飲んでいるのに、なかなか安定しない。
こうした話があれば、一度は睡眠時無呼吸症候群を疑って検査を考えます。
眠っている間に、身体は何度も起こされています
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まったり、浅くなったりする状態を繰り返す病気です。
呼吸が止まると血液中の酸素が減り、身体は呼吸を再開させるために眠りを浅くします。本人には目が覚めた記憶がなくても、身体の中ではこれが何度も繰り返されています。
「長く寝たのに疲れが取れない」「朝から頭が重い」「昼食後だけとは思えないほど眠い」という症状が出るのは、このためです。
多くは、睡眠中に喉の空気の通り道が狭くなる閉塞性睡眠時無呼吸です。肥満との関係はありますが、太っている方だけの病気ではありません。あごの形や鼻の通り、加齢による筋力の変化などが関係し、やせている方にも起こります。
血圧が下がりにくい理由が、夜の呼吸にあることも
呼吸が止まり酸素が低下すると、身体は危険を感じて交感神経を緊張させます。眠っているはずなのに、心臓や血管は休みにくい状態になります。
これが毎晩続けば、血圧にも影響します。睡眠時無呼吸は、高血圧、心不全、虚血性心疾患、脳血管障害などとの関連が報告されています。糖代謝にも影響するため、糖尿病や体重の管理という面でも見逃せません。
ただし、睡眠時無呼吸を治療すれば、血圧や血糖の問題がすべて解決するわけではありません。
食事、運動、体重、飲酒、薬の調整と同じように、睡眠中の呼吸も確認する。私はそのように考えています。
検査を考えてほしい三つの場面
家族から呼吸停止を指摘された方は、自覚症状がなくてもご相談ください。「何秒止まっていたか分からない」という状態で構いません。
日中の眠気が強く、運転中や仕事中に意識が落ちそうになる方は、検査を急いだほうがよい場合があります。眠気が続いている間は、車の運転や危険を伴う機械の操作を控えてください。
降圧薬をきちんと飲んでいるのに血圧が安定しない方も、睡眠について確認する価値があります。特に、大きないびき、朝の頭重感、夜間の頻尿、熟睡感のなさを伴う場合は、診察時に教えてください。
眠気には睡眠不足、薬の副作用、不眠症、うつ状態など別の原因もあります。「眠いから睡眠時無呼吸」と決めつけず、生活状況や服用薬も含めて考えます。
茅ヶ崎信愛クリニックで行っている検査
当院では、診察でいびきや眠気の程度、血圧、持病、飲酒習慣などを確認したうえで、検査方法を選びます。
多くの場合は、ご自宅で受けられる簡易検査から始めます。貸し出した装置を指と鼻に装着して眠り、呼吸の状態や血液中の酸素の変化を記録する検査です。普段の寝室で受けられます。
簡易検査だけでは判断しにくい場合には、脳波なども記録する精密検査「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を検討します。症状が強く、早く診断したほうがよいと判断した方には、簡易検査を挟まずPSGをご案内することもあります。
検査結果は、呼吸が止まった回数だけで決めるものではありません。酸素の低下、眠気の程度、持病、生活への影響を合わせて、治療が必要かを考えます。
CPAPは「始めて終わり」の治療ではありません
中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸では、CPAP(シーパップ)が治療の中心になります。鼻に装着したマスクから空気を送り、寝ている間の気道を開いておく治療です。
茅ヶ崎信愛クリニックでは、CPAPの導入から継続管理まで対応しています。治療中は月に一度受診していただき、使用時間や無呼吸の状態を確認します。
マスクから空気が漏れる。圧迫感がある。装着すると、かえって寝つきにくい。
こうした困りごとは珍しいものではありません。我慢して機器を使わなくなる前に、診察時に話してください。マスクの状態や空気圧を確認し、続けられる方法を一緒に探します。
軽症の方やCPAPが合いにくい方では、歯科で作製するマウスピースが選択肢になることもあります。体重管理、節酒、寝る姿勢の工夫も役立ちますが、それだけで無呼吸が解消するとは限りません。
家族の「息が止まっている」が受診のきっかけになります
受診時には、お薬手帳があればお持ちください。健診で血圧や血糖の異常を指摘されている方は、結果票も一緒に見せていただけると判断しやすくなります。
呼吸停止を見ていたご家族から、「どのくらいの頻度だったか」「息を吹き返すように大きく呼吸していたか」を聞いておくのも参考になります。正確に数える必要はありません。
いびきだけなら、すべての方に検査が必要なわけではありません。
それでも、呼吸停止を指摘された方、昼間の眠気が生活や運転に影響している方、血圧が下がりにくい方は、長く様子を見続けないでください。
茅ヶ崎で「検査を受けるほどなのか分からない」と迷っている段階でも大丈夫です。眠っている間のことは、自分では確認できません。ご家族から言われた一言を、そのまま診察室へ持ってきてください。
関連ページ
検査の流れやCPAP治療については、茅ヶ崎信愛クリニック「睡眠時無呼吸症候群」をご覧ください。
血圧については、健診で血圧が高いと言われたら?家庭血圧と受診目安も参考になります。
参考資料
厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
監修 医学博士 小島正之