AST・ALT・γ-GTPが高いと言われても、ほとんどの方は自覚症状がありません。肝臓は症状が出にくい臓器だからこそ、健診の数値が大切な手がかりになります。結果票をお持ちください。原因を一緒に確かめます。
ひとつでも当てはまる方は、症状がなくても一度ご相談ください。
肝臓は、栄養をたくわえて必要な形に作り変える、体に不要なものを分解する、脂肪の消化を助ける胆汁を作る、といった働きをしています。少し傷んでも働きを保てる余力があるため、病気がかなり進むまで症状が出ません。「沈黙の臓器」と呼ばれるのはこのためです。
健診の「肝機能」の数値は、肝臓の細胞がどのくらい傷ついているか、胆汁の流れに問題がないかを映しています。数値が基準を超えている状態を、肝機能異常(肝障害、肝機能障害)と呼びます。病名ではなく、「原因を調べる必要があります」というお知らせです。
肝臓のほか、心臓や筋肉にも含まれる酵素です。肝臓の細胞が傷つくと血液中に増えます。激しい運動のあとや、筋肉の病気でも上がることがあります。
主に肝臓に含まれる酵素で、肝臓の状態をより直接に映します。脂肪肝や肝炎で上がりやすい項目です。
肝臓と、胆汁の通り道(胆道)に関係する酵素です。飲酒、脂肪肝、胆道の病気、一部のお薬で上がります。
ALP、ビリルビン、アルブミン、血小板なども見ます。胆汁の流れや、肝臓の余力、硬さの手がかりになります。
健診の結果票には、数値とあわせてA〜Dなどの判定が書かれています。下の表は、人間ドックで広く使われている判定区分です。基準は健診機関によって少し異なりますので、お手元の結果票の判定もあわせてご覧ください。
| 項目 | A 異常なし | B 軽度異常 | C 要再検査・生活改善 | D 要精密検査・治療 |
|---|---|---|---|---|
| AST(GOT) | 30以下 | 31〜35 | 36〜50 | 51以上 |
| ALT(GPT) | 30以下 | 31〜40 | 41〜50 | 51以上 |
| γ-GTP(γ-GT) | 50以下 | 51〜80 | 81〜100 | 101以上 |
判定がBやCでも、原因によっては治療が必要なことがあります。逆に、一時的な上昇で心配のない場合もあります。数値だけで判断せず、原因を確かめることが大切です。
肝機能の数値が上がる原因はひとつではありません。問診と検査で、ひとつずつ確かめていきます。
肝臓に脂肪がたまった状態です。食べすぎ、運動不足、肥満、糖尿病、脂質異常症と関係が深く、お酒を飲まない方にも起こります(MASLD と呼ばれます)。
飲酒量が多い状態が続くと、脂肪肝から肝炎、肝硬変へ進むことがあります。γ-GTPが上がりやすいのが特徴です。
感染していても気づかないまま過ごしている方がいます。血液検査で調べられ、現在は有効な治療があります。
処方薬、市販薬、漢方薬、サプリメントが原因になることがあります。飲み始めた時期と数値の変化を照らし合わせます。
自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、胆石、胆管や膵臓の病気などで数値が上がることがあります。
ASTは筋肉にも含まれるため、激しい運動や筋肉の病気で上がることがあります。甲状腺の病気が関係することもあります。
血液検査と腹部超音波(エコー)検査を軸に、原因と肝臓の状態を調べます。
肝炎ウイルス(B型・C型)の検査、肝機能の詳しい項目、血糖、脂質、血小板などを調べます。必要に応じて、自己抗体や甲状腺の検査を加えます。
肝臓の脂肪のたまり具合、形、しこりの有無、胆石などを院内で確認します。痛みはなく、体への負担の少ない検査です。検査は食事の影響を受けるため、日時と食事については受診の際にご案内します。
年齢、AST、ALT、血小板の値から、肝臓の硬さ(線維化)の目安を計算する方法があります(FIB-4 index)。
CT、MRI、肝臓の組織検査など、より詳しい検査や治療が必要な場合は、適切な専門病院をご紹介します。
健診の結果票と過去の数値、飲酒の量、体重の変化、服用中のお薬やサプリメントを確認します。
原因を調べる血液検査と、肝臓の状態を見る超音波検査を行います。
原因と現在の肝臓の状態、今後の見通しをご説明します。血液検査の結果は、後日ご説明します。
原因に応じて、生活の見直し、お薬による治療、定期的な検査を続けます。必要な場合は専門病院へご紹介します。
お持ちいただくもの
原因によって対応は変わりますが、脂肪肝やお酒が関係する場合は、生活の見直しがそのまま治療になります。
脂肪肝では、体重を減らすと肝臓の脂肪も減っていきます。急な減量ではなく、数か月かけて少しずつ取り組みます。
甘い飲み物、間食、夜遅い食事、主食の重ね食べ(ラーメンとご飯など)から見直すと続けやすくなります。
早歩きなどの運動を、無理のない範囲で続けます。体重が変わらなくても、肝臓の脂肪は減ることが分かっています。
原因がお酒の場合は、量を減らすこと、飲まない日を作ることが治療になります。状態によっては禁酒をおすすめします。
自己判断で種類を増やしたり中止したりせず、飲んでいるものをすべてお知らせください。
健診で指摘された異常を調べる検査は、保険診療で受けられます。検査の内容によって金額が変わりますので、詳しくはお問い合わせください。
「少し高いだけ」と迷う段階でも構いません。健診の結果票をお持ちのうえ、お電話またはLINEでお気軽にご相談ください。
小島 正之こじま まさゆき
茅ヶ崎信愛クリニック 院長/医学博士
藤田医科大学 総合消化器外科 客員講師・非常勤講師
最終更新日:2026年10月11日